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A Tokyo based Software Engineer. Not System Engineer :(

1分間マネージャーを読んだ.

life

1分間マネジャー―何を示し、どう褒め、どう叱るか!

1分間マネジャー―何を示し、どう褒め、どう叱るか!

ここ数日、発熱と風邪でダウンしていたので、丁度いいと思い、積んでいた本をいくつか読んで過ごしていた。その中で「1分間マネージャー」という本がなかなか面白かったのでここに書く。この本を読んで昔を思い出したこともあり、思うことをまとめようと思う。

1分間マネージャーは小説ベースで話が進んでいく。マネジメントに興味がある若者が優れたマネージャーの元を訪ねるところから話がスタートし、そのマネージャーから「1分間マネージャー」という言葉を授かる。若者はそのマネージャーの部下達から「1分間マネージャー」について聞いて回り、これを構成する三つの要素について学びを得る。

  • 1分間目標設定
  • 1分間称賛法
  • 1分間叱責法

これら三つを簡潔に述べると、「目標(1分間目標設定)が行動を促し、成果(1分間称賛法と1分間叱責法)が行動を持続させる」という意味になる。字面にすると当たり前のように思えるかもしれないが、これがなかなか難しい。その中でも目標設定について、自分がいろいろと思った事を自分の経験と絡めて書いてみる。


合意と目標設定

僕がまだ入社1年目であった頃、育成目的の育成シートなるものを毎月書くことを義務付けられていた。中長期目標を先頭に書き、その上で今月の目標を立て、スケジュールを立て、振り返りを行い、次月に向けた目標を組む。それを毎月後半に上司に見てもらっていた。当時僕はとにかくこれが苦手だった。なんせ何を書けばよいのかが全くわからなかったからだ。

当時のプロジェクトは大規模SIで僕はそこの構成管理や移行担当だった。まず言ってしまうと僕はエンジニアになりたかったのだが、そこにはエンジニアとしての仕事はなく、調整業務の仕事しか存在しなかった。当時の僕の仕事と言えば、トレーナーから出された文をそのままコピペして調整相手にメールを発射すること、SVNの差分管理、移行&試験スケジュールのコピペ、議事録取り、のみだった。自分の頭で何かをする仕事は存在せず、歴史のあるプロジェクトにありがちな、前に習え業務。つまり答えが既にあるので同じことを今に当てはめるだけの仕事だった。

この時の目標設定はかなり苦痛だったのを覚えている。ここではロックインされた仕事しかないので、個人的にスキルを得るという目標はどうしても書けなかった。無理矢理だが、「決められたスケジュール内に業務を終える」という曖昧なことばかりを書いていたと思う。その時のチーム全体の目標といえば、「社外でも通用する人材になること」が掲げられていたが、その目標と自分の現実とのあまりのギャップに苦しんだことを覚えている。

そしていつも上司からは面談の時に怒られていた。目標が曖昧であったため、具体的なスケジュールを引けずにいたためだ。「もっと具体的に書け。じゃないと評価ができないだろ」と言われ、何も言えない、モチベーションの低い日々を過ごしていた。コピペ作業を数ヶ月やっていた間にそのプロジェクトが解散してしまったのだが、未だにあそこの目標設定というものの答えは見いだせていない。1分間目標設定が最も効力を発揮するところは、部下のモチベーションだと思う。1分間マネージャーでは下記のようにボーリングを例に出して説明している。

  • ボウリングは10本のピンがあり、できるだけそれを多く倒すという目標が明確である
  • また目標が明確であるおかげで、ピンが多く倒れること、などが良い成果ということがはっきり分かる
  • ではそのボウリングのピンを倒すという目標が曖昧で、ピンの前に幕が下がっていて、どれを倒せばいいかもはっきりせず、どれだけ倒したかも分からなかったら、いつまでボウリングをやる気になるだろう


この話はとても腑に落ちた。部下に仕事を振る場合は、ピンを見えるようにしなければならない。でなければ、部下は一体何本のピンが倒れたのかがわからないし、適切なフィードバックを受けることは出来ない。ピンを見えるようにするというのはすなわち、その人に何を期待しているのか、何をやってほしいのか、どうやったら良い成果だと言えるのかを共有することだ。言うのは簡単だが、これは両者の合意の上で成り立つものなので、非常に難しい。先の僕の例で言うと、エンジニアとしてのキャリアアップを目指す部下に調整役として成長してくれと言っても、ボールを投げ続けることはしないだろう。その人のキャリアアップに繋がるとよっぽど説得力を持っていない限り。

実際、僕は途中でその育成シートに業務のことは一切書かなくなった。代わりに書いたのは、「エンジニアとして一流になる」という大きな目標の下に、いつまでにこれこれの資格を取得する、であったり、検索エンジンアクターモデルベースで書く、アーキテクチャの基本構成の理解を深めるためにこの本とこの本を読み切る、といったことを書いていた。勿論、上司からは面談の度にこっぴどく怒られたけどね。

だから個人的にはこの1分間目標設定には部下との合意が必要不可欠だと思っている。嫌いなボーリングを誰が好き好んで投げるのか。目標設定はその合意に対する議論の為の第一歩として必要なので、これがまず出来ていなければモチベーションは一向に上がらないだろう。上司は部下の志向性を知り、自分の経験からその人のキャリアを良くしたいと考えていることをお互いに共有した上で、初めて倒すべきピンが見えてくる。あとは部下に勝手にやらせればいい。部下は勝手にピンを立て、勝手に倒していくだろう。お互いに合意した考えの上のピンなので、上司は適切なフィードバックを与えることができる。そして次の行動を促し、継続できるようになる。


まとめ

僕の場合は自分の方向性とのミスマッチが大き過ぎたために、結局その場所から立ち去り、倒したいピンのある場所を探した。これは人事の話なので少しズレるかと思うが、大前提として合わせていないといけないところだと思う。その上で仕事の振り方を意識する。明確に目標を立て、良い成果とは何なのかが明らかになっていることが大事なのだと。別の本で「マネージャーの仕事はチームのメンバーに気持ちよく仕事をさせることだ」と書いてあったが、それがやっぱり本質だと思う。その考えが根底にあるのが1分間マネージャーだった。

いずれ部下を持つ日が来たとしたら、ここに書いたことは意識したい。その前に体調治して復帰しろよ、という声がなんだか聞こえてきたので、もう一冊本を読んで寝ようと思う。

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