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SE Can't Code

A Tokyo based Software Engineer. Not System Engineer :(

粗粒子現像でグリッドサーチ.

地元の友人らと会う間、時間を持て余していたので久しぶりに京都の写真展巡りをした。そこで粗粒子現像で作られた作品を見つけてとても懐かしくなった。

小休止。 たまにはソフトウェア以外の話もしよう。大学時代に粗粒子現像にチャレンジしていた時の話。

粗粒子現像

写真は粒子で像を構成する。多くの写真は目に見えぬほど細かく美しい粒子の集合体である。だが、逆に粒子を目に見えるほど粗くする表現方法もある。そしてそれによってより映える写真を作ることが出来る。たとえば森山大道はその代表的な写真家だ。

僕は森山大道の写真が好きだった。この荒々しい作品を見る度に、こうした作品が作りたいと思った。そして大学3年の頃、粗粒子現像の実験を始めた。暗室に籠ってね。

How to do

粒子を粗くするにはやり方がある。希釈しても強い現像能力を持つ現像液を高温で処理し、ハイライトがヘタらない程度の最大限の濃度を露光で与え、粒子が大きく成長するような処理を行う必要があった。そしてこれがとても難しい。現像をやったことのある人ならばわかるだろうが、感度の調整、現像液との相性、水温の調整、現像時間の調整、といろんなパラメーターがある。これらを調整して、最適なパターンを決める。なんだかデータ解析や機械学習と似ている。

そして何よりも粗粒子現像は情報がなかなかない。Webにあるかと思えばなかなか出てこない。人に聞こうとしても、「高温で2分程度現像すると出来るらしい」と言うだけで、詳しい人はいなかった。だから実験をした。大量のフィルムを用意して。

粗粒子現像、実験

フィルムは当時の価格で1本500円だった。とんでもない値段。こんなのを沢山買う学生は馬鹿だ。そして馬鹿は沢山買ってきた。そのお金を海外旅行の足しにでもすれば良いものを。

ただ高温にして現像するだけではつまらない。ちょっとこだわろうかと、現像液の薬品調合から実験を始めた。粗粒子現像に良い薬品を買ってきて、調合。気持ちは薬学部のそれだった。

高温にする。とりあえず40度くらいか。そして攪拌時間。ある人は2分と言っていたのでとりあえず2分から始める。高温に耐えて攪拌する。時間のロスは命取り。現像液の次はすぐに停止液、そして定着液。ここは通常の現像と同じだが、より気を張って作業を行う。なんてったってフィルム1本500円。地方大学生のバイトの時給は安い。

フィルムを取り出す。真っ白なネガと真っ黒なネガばかり。高温で現像をするとコントラストが高くなる。どっちかに寄ってしまい、像が潰れる傾向がある。これが粗粒子現像の難しいところだ。ここを上手く調整して、適切な現像を行わないと像が潰れてしまう。最初のネガは失敗に終わった。ノートに記録する。

ここから先はチューニングの世界。データ解析や機械学習と同じ。各パラメーターの最適を決めるため、グリッドサーチをかける。今の仕事となんら変わらないことを当時やっていた。大きな違いとしては、この現像という作業は人間がかなり時間をかけて一工程を終えること。もちろん、データサイエンスの世界も泥臭いが、それ以上に泥臭い作業。薬品調合の微調整、水温調整、攪拌時間の調整、などをちょこちょこ変えてはノートに取っていく。これは途方もない。

はっきりとは覚えていないが、グリッドサーチをかけて実験ノートが埋め尽くされ、最適なパラメーターを見つけた。そしてそれを使っていくつかの粗粒子現像を行った。今手元にある写真だとこんな感じに。

最後の写真はなんだろうな。自分にもよくわからない。ハイコントラストで像が潰れてるから失敗してるじゃんか。ただ、粒子は割とはっきりと見えるんじゃないだろうか。

Conclusion

何かを作ることは楽しい。望む結果のために実験を繰り返して、結果が返ってくると最高の達成感が得られる。めっちゃ疲れるけど。そして割と今の仕事とも通じてるところもある気がする。不思議な感じだが、そういう意味では適性があるのだろうか。いや、まぁ、グリッドサーチ、人手でやると、めっちゃ、辛い、んだけどね。もうやらない。

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